「えほんをよむかい?」 京都第5回

あらいぐまとねずみたち
あらいぐまとねずみたち」作・画 大友 康夫(福音館書店)

2013年3月10日(日)、「えほんをよむかい?」 京都第5回は、いつもの親子参加メンバーに、3人の大人の参加者も加わって、大人13人、子ども9人、総勢22人で「あらいぐまとねずみたち」を読みました。

じゃがいもを盗まれたあらいぐまの一家が、犯人のねずみたちのために家をつくる心温まる物語。担当の川合さんは子どものとき、ねずみたちの家の様子が描かれた1ページを夢中で読んだそうです。ねずみの家は、ありの巣のような断面で描かれていて、台所や寝室、すべりだいとつながっている地下室、ねずみたちが縦横無尽に遊び、ひと部屋ひと部屋に小さな物語がつまっている、いくら見てもあきない絵でした。

参加者のみなさんにも子どもの時、時間を忘れて夢中になった絵本や思い出を話してもらいました。

・家の間取りを見るのが好きだった。
・「ドラえもん」のように押入れで寝たら、夜中にふすまが倒れて大変なことになった。
・布団やマットレス、カーテン、ダンボールで部屋を作った。
・『注文の多い料理店』で次々と開けられるドアの絵にひきこまれた。
・小さいときにお母さんが読んでくれたグリム童話。どんな戦士も倒せないおそろしい怪物を、最後にぐうたらな男が倒すという話があって、それをよく憶えている。
・自分が小さい時は戦後まもなくで絵本が少なかった。
・韓国には絵本が少なかったから、こうして小さい頃に読んだ絵本の話ができることに驚いた。いま、自分の子どもにはそのチャンスがあると思うと嬉しい。
・全体のストーリーは憶えていないけれど、穴のあいたチーズの絵とか、断片的に記憶が残っている。
・『三匹の山羊とがらがらどん』どんな話かはちゃんと憶えていないけれど、おどろおどろしくて怖かった。山羊が橋をわたらなきゃならないシーンでどきどきした。

など、いろいろな話がとびだしました。

『あらいぐまとねずみたち』については、ねずみとあらいぐまの共存の物語と読めて興味深い、じゃがいもや家をつくって教えるあらいぐまはほんとうにかしこい、生活のなかで自分が誰かのためになにかを作るときを気持ちを思い出した、などいろんな感想がありました。

東京から参加くださったMさんが「絵本は絵があり、文があるけれど、読んでいるうちに絵と文も超えて、想像のなかの世界に連れて行ってくれると思う。小さな断片から、おいしいもの、こわいこと、かなしいこと、たのしいことなどが思い出される」と言っていたのが印象的でした。
この本もあらすじだけを読むと教育的な本にもとれます。けれど、ページをめくってゆけば、あらいぐまのユーモラスな手つき足どり、細かにかかれたじゃがいもの畑づくり、まるで遊園地のようなねずみの家など、絵としての楽しさがぎゅっと詰まっています。その小さな断片が、物語に命をふきこみ、ストーリーをこえて、わたしたちをもっと広い世界に連れて行ってくれるように思いました。

絵本カテゴリーの記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です


上の計算式の答えを入力してください