2014年9月27日土曜日、えほんをよむかい?in 京都 第18回。
今回は、2014年1月から家族で来日し、3月から毎回えほんをよむかい?にも参加してくれているエストニア出身のJoanna とLauriによる、エストニアの絵本の紹介!
日本ではなかなか知る機会の少ないエストニアのこと。大人10名、子ども8名、初めての参加の方も交えて、わくわくしながらはじまりました。
紹介してくれたのは、『POKURAMAAT』 (『ポクのおはなし』作:Edgar Valter)
というエストニアではとても有名な絵本シリーズ。
ポクは、この表紙に描かれているキャラクターたちの名前で、
”やちぼうず”から発想を得てつくりだされた妖精のような、
コビトのような、森にくらす生きものです。
わたしは初めて知りましたが、日本でも北海道などの湿原でみられるそうで
漢字で書くと”谷地坊主”。
スゲの根っこが未分解物とともに成長を重ね、さらに冬の凍上現象が加わって
長い歳月をかけて盛り上がってできたものらしいです。
このシリーズのなかから『MASTIMAND』(帆柱の松)というおはなしを
Joannaのエストニア語とLauriの日本語訳の交互で読み聞かせてくれました。
エストニア語はなんとも想像力をかきたてる響き!
プークじいさんと、ポクたちが森を歩き、さまざまな疑問にじいさんが答えていく、というお話でした。タイトルにあるMASTIMANDは、帆柱のように背の高い松のこと。背の低いポクたちが、松はどうして上を向いて伸びていくのか、どのくらいの年齢なのかなど、太陽と植物の関係をポクたちに問われるままに、おじいさんが答えていきます。
ポクたちの好奇心と、プークじいさんのやさしい語りかけとまなざし。
植物たちが太陽の恵みのもと生きていること、
森の中にはさまざまな大きさや形、種類の草木花があることを
そっと伝えてくれるやわらかな物語に、みんなでうっとり聞き惚れました。
「こんなおはなし、日本にない!」
「エストニアの森はどんな?」
「エストニアの人びとの家や暮らしは、森や自然に近いの?」
「プークじいさんが、ポクたちの疑問に”答えて、教える”のではなくて、いっしょに自然のヒミツをさがしていくようなところがいい!」
など、次つぎと感想や質問が飛び交いました。
後半は、ワークショップ。
自分の身近な植物をひとつ選び、ポクのようなキャラクターをつくってみました。
名前、性格、どんなことが好きか。
ふだん何気なく目にしていたり、口にしていたりするものたちに
名前や性格をイメージしていると、親しみがわいてきて、
妖怪や妖精、アニミズムのように、見えない世界が見えてくるようです。
さぁ、明日から、そんな目で散歩に出てみよう~
とおもえる時間でした。
最後に余談。
Joanna夫妻は来日にあたって4才の息子に読む物語として、
『LASTE ROOM 2』と題された1冊の分厚い本をもってきていました。
1980年~2010年にエストニアで出版された、いろんな作者のいろんなお話が
150話ほどおさめられています。元の絵本に比べて挿絵はカットされていますが、お話はそのまま。1冊でもたくさん楽しめます。
POKURAMAATのおはなしも、この本から選んで紹介してくれました。
日本では1人の作者の作品が1冊になっているものはよくありますが、
いろんな作者の絵本が1冊になっているものは見られません。
そんな違いも面白く、エストニアの絵本事情、出版事情も気になりました。
なによりも、このステキなポクたちと、プークじいさんのおはなしをもっともっと読んでみたい。すてきな絵本の紹介、Joanna&Lauri、ほんとにありがとう!