えほんをよむかい?in京都 第22回

2015年、「えほんをよむかい?」はあたらしい目標をたてました。
それは、
「子どもたちと一緒に考える」こと。

「えほんをよむかい?」は、子どもたちへの読み聞かせの会と思われがちなのですが、
そうではなく、絵本をきっかけに、読んだ人たちの中にある物語、思い出やそこから連想するものなどを語ったり、
絵や工作などで形にしたりして、互いを知るようなじかんを作れたらと活動してきました。

その点は変わりませんが、、
今年は、どちらかというともっと子どもの参加に比重をおいて、絵本を読み、大人と子ども、参加者みんなで考えていきたいと思っています。
これまでは絵本を読む時間と、大人たちがしゃべる時間、手を使ってワークをする時間とわかれてしまいがちでしたが、
目の前にある1冊の絵本から、そこから選んだひとつのテーマから、
いま、ここで感じたこと、思ったこと、気づくことは何か、いっしょに探り、分かち合ってみたいのです。

どんな絵本も、”本”と比べたら、短くてやさしい文章やことば、そして絵のなかに、
ぎゅぅっと「この世界のひみつ」が隠されている。

日々あたらしく出会う”何か”を、子どもたちはどうやって”じぶんのもの”にしていくのか、”理解”していくのか、
そんなふしぎに迫ってみたい、
そして自分自身、大人たち自身も、
もういちどのこの世界を捉えなおしてみる機会をもちたい、
と思ったことが、
絵本をつかって、子どもたちといっしょに考える”哲学”をしてみたいと思った理由です。

参加してくれる子どもは、0歳の赤ちゃんから就学前が主。
まだまだ小さな子どもたちですが、それぞれの等身大で、いっしょに考えてみる時間をもってみることが
当面の目標です。

 

そんな第一弾は、大人8名、子ども5名との参加者とともに2015年1月24日(土)に開かれました。
絵本は、「どうしてそらはあおいの?」( サリー・グリンドリー文/スーザン・バーレイ画)。

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小さなうさぎは好奇心でいっぱい。
ろばは「どうしてそらはあおいのか」を教えてあげようとしますが、
話しはじめるとすぐ、うさぎはほかのことが気になってしまいます。
「どうしてじめんはちゃいろいの」、「どうしていちごはあかいの」…。
なかなか講義をできずにろばはもどかしくなります。
そんなある日、うさぎの姿が見えなくなりました。探しにいったろばは、ひさしぶりに走ったり、跳ねたり。
そして、体いっぱいで感じること、じぶんで気づくこと、学ぶことの大きさを期せずしてうさぎから教わります。

 

さて、わたしたちもまず、本のタイトルにもなっている「なぜ空は青いのか」という命題を子どもたちにも投げかけてみました。
おはなしのなかでうさぎは言います。
「なぜそらはあおいのかわかったよ!」
「ペンキがあおしかなかったからさ!」

このやりとりを覚えていた子どもが、「ペンキでぬったんだよ」といいました。
そこで、「ペンキって何かな?」
―「おててとかにぬるやつ」
「絵の具のなかまだね」「ペンキと絵の具のちがいは何だろう?」
-「おおきいところろにかくときがペンキかなあ・・・?」

小さなごく当たり前に知ってそうなことを、大人も一緒に”定義”を探ります。

はじめに、Nちゃんのお母さん。
「最近Nちゃんは”みずいろ”を見つけるのが楽しくて、見つけると指さしておしえてくれるよ」

そこで、みんなの着ていた服のなかの”みずいろ”探し、”あお”探しをしました。
ひとくちに”あお”といっても、ネイビーブルー、水色、紺、ジーンズの青…。
ほんとうにいろんな”あお”があって、
探してみるとほとんど全員が”あお”を身につけていて、色の幅はとても広いことを実感しました。

歴史的、文学的にみても、
日本語の「青」にはいろいろあります。
身近なところでは、
「信号の青はなにいろ?」―「みどり!」
これは韓国でも同じように、緑色の信号を青と言うそうです。
そういえば、「青いバナナ」の色も、実際は「緑」。
「青リンゴ」は「green apple」、スペイン語でも「velde(緑)」」、
「青二才」もやっぱりスペイン語でも「velde」だよ!と青と緑の使い分けが話題になりました。

どうして青と緑がこんなふうに混ざって使われるのかな?と考えていくと
「もともと、青ははっきりしない色の総称で、緑は植物の色をさして呼んでいたらしい」との声!

そして、外国人、とくに西洋人と日本人とでは、そもそも見えている色が違うらしい、との話もでました。
アジア人にとって「青緑(エメラルドグリーンのような色をさして)」は綺麗な色だけど、
アメリカにいたとき、「気持ちわるい色!ダサい!」と言われたり、
国際結婚のカップル間では、ふだんの会話でそのちがいでミスコミュニケーションがあったり・・・!
参加者の中にはいろいろな国や文化につながる方がいたので、次々と具体的な話が飛び出てきました。

「モロッコのシャウエン(Chefchaouen)は、青い街として有名だけど、
インドでも家の壁を青く塗って涼しさを演出する地域もあるよ!」
世界をみわたすと、「あお」が担っている役割、与えている印象がさまざまであることに気づかされます。

一方、国を超えた人種や文化的背景のちがいだけでなく、
わたしたち一人一人は、見えている色、それに対して呼んでいる色はちがうよね、という声もあがりました。
Tちゃんは幼稚園で「それはピンクじゃない!」と友だちに言われたけれど、
お父さんは「Tちゃんに見えているピンクと、おともだちに見えているピンクとはちがうし、ちがっていいんだよ」と話したとか。

さて、自然界の「あお」といえば、
草木染めの藍染。
そして、トルコ石(ターコイズ)、ラピスラズリが浮かびます。
宝石の中のブルートパーズはもとは薄黄色の石を加熱することで得られる色だと、元宝石づくりのお仕事をされていた方の談。
このあたりから大人たちも、頭をひねり、知恵を絞りながら、「あお」に迫り始めました。
「済州島の海は何色?」
Sくん-「あか」。
赤の好きなSくん。みんな「海は赤だっけ・・・?」とちょっぴりハテナマーク。
そこで、「赤い海はあるかな?」と問いかけてみると、
Tちゃんすこし考えて-「あかいうみは、インドのうみ!」
初めて夕日が海に沈むのを見たのは1年以上前のインドでのこと。
それを思い出して言ってくれたことに大人たちはびっくりしました。
話は空に戻り、住んでいるところで、空の色が違う話に。
大阪や川崎にかつて暮らしていたことのあるひと、「工業地帯の空は灰色。光化学スモックなどもひどかったよ~」。
公害による色の変化と言えば、川も。チタンガスで真っ黒な川も浮かびます。
「子ども文庫やかまし村」のある団地のそばを流れる高野川も、昔は染物の染料の色で濁っていたこと、かつてこのあたりは西陣織などの反物の染場であったこと、カネボウの工場があったことをやかまし村の永井さんが聞かせてくれました。

 

「あお」をめぐる”哲学”。
第1回はこんなふうに話が展開していきました。
記録のためにも、ひとまず今回はできるだけ細かいところも書き留めておきました。
読みにくい箇所も多いと思いますがご了承いただければ幸いです。

 

さてこのあとは、
小さなころに思っていた、または、子どもが最近口にする、「どうして○○は××なの?」という疑問を絵にしてみました。

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◎どうしてお月さまはついてくるの?

◎どうしてパパはおしごとなの?(毎晩の夕飯のときに)

◎どうして木に葉っぱがないの?(冬がきて)

◎地球は丸いっていうけど、地面は平ら。どうして?

◎光をみたあとみえる残像は、なあに?どうして目がチカチカするの?

◎じぶんはどうしてここにいて、あそこにいないんだろう?
どうしてここに生まれて、あそこに生まれなかったんだろう?

◎どうしておとうさんにはひげが生えていて、おかあさんや子どもにははえてないの?

◎自転車でで走っていると風がふくけど、止まると風も止まるのはどうして?

 

さいごに、この1冊を読んで、この会はおひらき。

「あなはほるもの おっこちるとこ -ちっちゃいこどもたちのせつめい」
モーリス・センダック 岩波の子どもの本 1979版
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大人は「う~ん!そうそう! あはは!」
子どもらは、「???・・・」 の1冊でした。

ぜひご一読ください~

(担当:林飛鳥/矢萩多聞)

えほんをよむかい?in 京都 第20回

2014年11月29日土曜日、
11月も末というのにあたたかな朝、今月も大人7名、子ども5名があつまって
20回目となる京都でのえほんをよむかい?をひらくことができました。

今回のテーマは「収穫のものがたり」。

実りの秋。

たくさんの美味しい野菜や果物たちにかこまれるこの季節、
作物を育ててくれているひとたち、土や光、水、虫たちなど
自然への感謝の気持ちがおのずと湧いてきます。
そんなことに思いを巡らせていたら、ふと、
この絵本をみんなで読んでみたくなりました。

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『とうもろこしおばあさん』(秋野和子・作/秋野亥左牟・画 福音館書店)

「一度読んだら、あまりの衝撃のシーンに忘れられない1冊!」
という声をよく耳にするこの絵本。

アメリカインディアンのとうもろこし栽培の起源を描いたものがたりで、
世界各地に残る食物起源神話のひとつ。

一晩の宿を求めてやってきたおばあさんが、
快く泊めてくれた村人たちに、お礼にたくさんのパンをつくります。
「こんなおいしい食べものは見たことがない!」
ふしぎに思った青年がおばあさんのテントをのぞくと、おばあさんはふとももから・・・。

ヒミツを知られたことが分かったおばあさんは、
畑を焼き、自分の髪の毛をもってその上をひきずりまわし、
月が3回のぼったあと、また畑に来るようにと青年に告げます。
やってきた青年が目にしたのが・・・。

 

食べ物がどうやってこの世界にうまれたのか?

その起源を考えるのは太古のひとも、現代のわたしたちも楽しみのひとつ。
そこで今回は、『とうもろこしおばあさん』のはなしに沿って、

①ある日、おばあさんが美味しい○○をつくって子どもたちにふるまうシーン
(○○は作物そのものではなくて、それを使って作った料理)

②青年がテントの中をのぞくと、おばあさんが体の一部から○○を生み出しているシーン。
(体のどこから生み出しているか描く)

③おばあさんが青年に、その作物の育て方を指示し、作物が実っているシーン。

の3つを、2人1組で紙芝居のように紹介し、みんなでその作物が何かをあてる!
というワークをしてみました。

 

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グループa
おばあさんはある日、甘~いまっ赤なスープをふるまいました。
青年がのぞくと、おばあさんは心臓にナイフを刺し、スープを作る姿が。
「死んだじぶんの体から心臓を取り出し、血液を畑にまいておくれ。
3回月がのぼったら、畑にはたくさんの○○が実るよ。」

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グループB
おばあさんはある日、真っ黒いあんこのはいったパンをふるまいました。
青年がのぞくと、おばあさんはおへをから何やら取り出しています。
「わたしの

木にはたくさんの○○が実るよ。」

 

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グループC
ある日おばあさんは、ふわふわの美味しいお好み焼きをふるまいました。
青年がのぞくと、おばあさんはおしりから長い長~いものを生み出しています。
おばあさんは、バケツにたっぷり出し、すべて畑にまくように青年に命じました。
やがて土を掘り返した青年が見つけたのは・・・?

 

それぞれ、なるほど!の作物ばかり。
どんな作物が実ったのか、考えてみてくださいね♪
(こたえはブログの最後に)

 

さてこのとうもろこし、

小麦、米、とともに世界3大穀物のひとつで、
生産量は8億トンを超えます。
でも、人がそのまま食べる「食用」はわずか4%。
64%は家畜の飼料用、32%が工業用(コーンスターチ製造(製紙・のり・甘味料などに使用)、コーン油など)、そして近年ではバイオマスエタノールとしての利用に注目が集まっています。

遺伝子組み換えにより、生産量が莫大にスピードアップし、
それぞれの用途にあわせて改良されたり、その種に対応した農薬とセットで改良されたり、
もはや原種は手に入りにくいくらいに様々な種類ができたとうもろこし。

とうもろこしおばあさんも、
まさか人間たちよりも家畜の食べ物や工業用としてこんなに
使われるとは思っていなかったでしょう。

一方、「食用」は4%でも、映画「キング・コーン」(2007年、アメリカ)を観ると、
アメリカ人の体のほとんどはとうもろこしでできている!という衝撃の展開。

飼料用のコーンを食べて育った牛を食べたり、
コーンスターチを使った甘味料入りの清涼飲料水を飲んだり、
わたしたちの食は、とうもろこしなしには成り立たないほどになっているのです。
その多くが遺伝子組み換えにより、見えない危険を多分にはらみながら世界に広がっています。

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さいごに、やかまし村の永井さんに
『とうもろこしどろぼう』(西本鶏介 さく、武井武雄 え、フレーベル館)
を読んでもらい、コーン入りとうふスコーンをたべて、おひらき。
気づけば、食をめぐるこわ~い話に盛り上がってしまいましたが、
インディオのひとびとのトルティーヤや
アフリカのウガリ(別名も多々あり)など世界のとうもろこしの食べ方の話にも花が咲き、
いつか、みんなで作って食べる企画もできたらいいな~と思っています。

先人たちが大切に育て、食べ、つないできてくれたいのちの源のひとつひとつ。
安心で安全なタネ、美味しく味わい深い料理とともに、未来へわたしていきたいと
願った日でした。

 

 

(ワークの各グループのこたえ)

グループa  ビートルート
グループb  ごま  (”へそのごま”という言い方に、エストニア出身の参加者はびっくり!ひいてました(笑))
グループc 長芋

えほんをよむかい?in京都 第19回

2014年10月18日(土)は、
いつもの「家庭文庫 やかまし村」を飛びだして、
”お外で”えほんをよむかい?でした。

1回目は2年ほど前の5月の宝ヶ池公園。
青空の下は気持ちいい!と思ったのもつかの間、
あっというまに楽しそうな遊具の方へチリヂリになってしまい、
それからなんとなく外での開催はせずにきました。

でも今回は、下鴨神社の糺の森。
テーマは、秋の森遊び。
秋空のやさしい太陽の下、シートをひろげてあつまりました。

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えほんをよむかい?in 京都 第18回

2014年9月27日土曜日、えほんをよむかい?in 京都 第18回。

今回は、2014年1月から家族で来日し、3月から毎回えほんをよむかい?にも参加してくれているエストニア出身のJoanna とLauriによる、エストニアの絵本の紹介!

日本ではなかなか知る機会の少ないエストニアのこと。大人10名、子ども8名、初めての参加の方も交えて、わくわくしながらはじまりました。

紹介してくれたのは、『POKURAMAAT』 (『ポクのおはなし』作:Edgar Valter)
というエストニアではとても有名な絵本シリーズ。

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