吉田戦車/河出書房新社/2011年
小学生のとき、吉田戦車の漫画と出会って夢中になった。いまだに心が行き詰まった時に開くのは吉田戦車の漫画と、インドの詩人カビールの本。吉田戦車が絵本をかいたと知り、自分の子にはじめて贈る本は、松谷みよ子でも中川李枝子でもなく、『あかちゃん、もってる』にしようとずっと思っていた。
妻からは「最初の絵本が吉田戦車なんて!」と気味悪がられたが、実際に娘に読み聞かせすると、案外ウケがよかった。
内容はとってもシンプル。「あかちゃん、もってる/おもちゃ、もってる/おかあさん、もってる/だいこん、もってる」。いろんな者がそれぞれのものを持っているだけ。子どもも大人も、魚も熊も、みんななにかを掴んでいる。それがいい。
つかむって、なんてことない動作のようだが、例えばロボットに玉子を持たせるのは相当難しい計算が必要になると聞いたことがある。つかむ力が弱ければ玉子は落ちる、強ければ砕ける。
さあ、うちの子はこれから何をつかみ、何をはなすのか。そんなことを思いながら、ページをめくる。(た)
卵もそうですが、からのコップを
持たせて、ビールをつぐと重さが
かわるのでロボットじゃない人の
場合は、わりと調節して持つ強さ
を変えているんですかね。
「何を持ち、何を離すのか」というのも
面白いですね。
赤ちゃんが1歳ぐらいになると、何を
持つかで将来何になるのかを占う
国もありますね。(例:韓国、インドネシア)